カードシステム

カードシステム

既にカードシステムは電気通信や公共輸送の分野あるいはセルフサービス端末機など広範囲に利用されている.今や多くの人々が銀行の端末機を利用するためにカードを持ち歩いている. こうしたカードに利用者の要望事項や好みを記録することは, 恐らく可能であろう.

スワイプ式カード読取機

カードをスワイプ (訳注:コンピュータに情報を入力するため専用スロットを通過させること) する際には正確な操作が求められるので高齢者や障害者には使いにくいであろう.

スマートカード

スマートカード (訳注:日本ではICカードと呼ばれている) はクレジットカードと同寸大のプラスチックカードで集積回路が内蔵されている. この回路に記憶された情報はあらゆる種類の端末機で正確かつ確実に読み取ることができる. スマートカードは磁気記録式カードよりも大量の情報を保持することができる.

スマートカードを使えば, これまでよりもずっと使い易い機械を開発することが可能になる.

スマートカードには障害者や高齢者が端末機に伝えるべき以下の情報を記憶させて持ち運ぶことができる.

・ 利用者に対する時間的余裕の容認. 多くの高齢者や認知障害者は機械に急かされたり, あるいは, 「時間切れ」になるかもしれないと考えることを好まない.従って,こうした人達には自分自身のペースで端末機を利用することを容認する必要がある.

・ 予め設定しておいた合計金額を提示するなどの方法による簡便な入力方法の選択.

・ 弱視者を想定した大きな文字.

・ 他人に知られても構わない情報の音声出力.

利用者の要求事項の規格制定作業の現状は欧州規格prEN1332-4草案(該当する規格の一覧は28頁の標準規格の項参照) に示されている.

〔中央欄図中の文字〕スマートカード

エンボス (訳注:文字を浮き彫りにした) カード

全盲の人達にとって, その場に応じたカードを財布から選び出すことは厄介なことである.

そこで, カードに縦10mm以上の大文字を 0.7mm以上浮き上がらせるエンボス加工を施すことが推奨されている.

〔左欄下図中の文字〕テレフォンカード

非接触式スマートカード

最大10cm離れた位置でも機能する非接触式カードは, カードを挿入スロットに入れるのに苦労する人達に役立つ. このカードは車椅子利用者やパーキンソン氏病あるいは関節炎の患者, さらに, 視覚障害者にとって特に重要なものである.

〔左欄上図中の文字〕非接触式スマートカード

カードの挿入方向

全盲の人達や多くの高齢者はカードを正しい方向に挿入するのに苦労する.このことはエンボス加工を施していないカードでは特に問題であり. カード後端に2mmの切り欠きを付けることが推奨されている.





Kenji Horiuchi