タチホン(盲聾者通信システム)

タチホン(tachiphone)とは、福祉システム研究会が開発した盲聾者通信システムのことである(特許出願済み)abstract

特に視覚聴覚障害者、視覚障害者、聴覚障害者、健常者が相互に通信可能な通信端末、通信サーバーおよび通信システムである。

視覚にも聴覚にも頼れない盲聾者に文字情報を伝達しうる唯一の感覚、触知覚の活用が本開発の出発点である。携帯電話の振動子を利用する情報通信の仕組を完成させ、電気通信の世界から孤立した盲聾者を情報社会に迎え入れるものである。

タチホンの実行サンプル写真を以下に示す。
写真はAUの携帯電話であるが、現在、ソフトバンク携帯にてシステム構築がされている。


タチホンの実行状況サンプル写真 タチホンの実行画面サンプル

二点式体表点字用携帯電話アダプタ(内山幹男開発)

筑波大学附属盲学校の元教諭で全盲の長谷川貞夫は点字の世界に漢字の概念を持ち込んだ六点漢字の発明者として名高いが、同氏は振動子の動作時間の長短で点字コ−ドを表現する体表点字の提唱者(人間の新しい文字情報チャンネルとしての2点式体表点字システム)でもあり、その普及活動に尽力している。体表点字は点字を構成する六点を時間軸上に展開することが特徴で、平面上に配置する伝統的な点字とは大きく異なる情報伝達手段である。

携帯電話のイヤホンジャックに専用アダプタを付加する方法で通信機能を実現しているが、普及を考えると携帯電話本体だけで対応できることが望ましい。そこで考えられたのが一点式のタチホンである。

振動子を用いて点字を送受する場合、六点を一斉に伝送すると、部位によっては弁別しにくい場合がある。長谷川氏は、二点ずつ3回に分けて伝送すれば認識率が高まることに気付き、この方式を二点式体表点字(以下、二点式という)と命名した。視覚障害者は以前から電話を活用してきたが、盲聾者と呼ばれる視聴覚複合障害者は電気通信の恩恵から取り残されている。しかし、体表点字を利用すれば盲聾者も電話が使え社会参加が可能になるという同氏の願いに応えて福祉機器開発者の内山幹男が専用アダプタを試作し、盲聾者も使える電話の有用性を明らかにした。その装置の写真を以下に示す。

二点式体表点字用携帯電話アダプタの写真

参考文献の例
太田 茂、河野孝幸、行元 愛、内山幹男、長谷川貞夫、岸本俊夫、河田正興、仲本 博、「振動を用いる触知覚通信に関する研究−盲聾者が利用できる通信方式の確立を目指して−」、川崎医療福祉学会誌、Vol.18, No.2, 2009, pp.465-470