外観、ラベルと取扱説明

外観とラベル,取扱説明

端末機の設置場所を見つけたら,その機器の型式や機能,操作方法を知る必要がある.最初に与えられる取扱説明は,端末機本体の表面に取り付けるラベルや標識の形か,画面上のメッセージであることが多い.

ラベルの位置決め

ラベルは利用者が容易に読める位置に取り付けなければならない.もしラベルの位置をキーボードの近くにするときには,ラベルが擦り減ったり剥がれたりしないよう充分注意する必要がある.もし,そうなる心配があるならばラベルを定期的に交換しなければならない.

点字による取扱説明

触覚は気温が下がると急激に低下するため,寒い日には屋外に設置された端末機では点字は殆ど役に立たない.欧州における点字利用者数は人口の0.02% 以下と推測されており,点字は一部の全盲の利用者には有用であるけれども,視覚障害を有する利用者全般についての完全な解決法とはいえない.

取扱説明の視認性

端末機の表面に取り付ける取扱説明は全て簡潔かつ明確な文章で書かなければならない.10ポイント程度の活字は多くの人が識別し難い. ラベルには16ポイント (訳注:原文には縦4mm という注記があるが,邦文書体では 5mmを超える) 以上の活字を使うことが推奨されている.

これは16ポイントのメディアムウェイト活字の印字例です.

操作順序を示す番号付き取扱説明

取扱説明の文章に番号を付け,これと実際に操作する部分に付けた番号とを対応させておくと便利である.番号は視覚的表示装置の画面に出力することも可能である.

〔中央欄図中の文字〕どうぞ貴方のカードを?@のスロットに挿入してください

車椅子使用者

関節炎患者などの多くの車椅子使用者にとっては, カード読取機に手を伸ばすことだけが問題なのではなく,水平位置から上に挙げた腕を保持するのに役立つ握りが必要なことも問題である.このことは,スワイプ式カード読取機では特に切実な問題である.

車椅子が前方からしか接近できない構造の端末機では, あらゆる操作要素を1.2mより上に配置してはならない.

利用者が操作するあらゆる部品を0.7mより下に配置してはならない.

理想としては, 端末機あるいは利用者が操作する機構は, ドライブインに置かれた一部の現金自動支払機のように高さが調節できる方式でなければならない. 非接触式スマートカードが利用できれば, カード読取機利用時の諸問題は一気に解消する.

〔中央欄上図中の文字〕1.2m以下 0.7m以上

カードの挿入

端末機の操作に慣れていない人は, しばしば, カードを挿入すべき場所を見つけるのに苦労する.カード挿入スロットの回りに点滅灯を付けておくと見つけるのが楽になる.挿入部分をラッパのような末広がりの形状にしておくとカードを正しく誘導してくれるので, 手が震える人の役に立つ.

車椅子に乗って端末機に平行な方向から近づく場合を想定すると, 端末機の全操作要素の最大高は以下に示す表の値を超えてはならない.

  | 到達可能距離(cm) | 最大高(m) |
  +−−−−−−−−−−+−−−−−−−+
  | 30 | 1.3 |
  | 45 | 1.2 |
  | 60 | 1.1 |





Kenji Horiuchi