アクセシビリティ指針の解説

障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ指針の解説

障害者・高齢者等情報処理機器アクセシビリティ指針の解説

目 次

1.目的
2.対象機器
3.基本方針
4.仕様

4−1 標準的なハードウェア及びソフトウェアを使いやすくする機能(付加機能:Adaptive function)

1 キーボードを使いやすくする機能
2 ポインティングデバイス(マウス等)を使いやすくする機能
3 画面表示を見やすくする機能
4 システム全般を使いやすくする機能及び環境

4−2 標準的なハードウェア及びソフトウェアの代替手段として提供する機能(代替機能:Alternative function)

1 キーボード
2 ポインティングデバイスの代替
3 ディスプレイやプリンタの代替

4−3 共通事項

1.目 的


情報化社会の進展に伴い、情報作成、情報伝達、情報収集等のために個人において情報処理機器の活用が一層浸透し、国民一人一人の日常生活において情報処理機器は 必要不可欠な手段となりつつある。このような中で、情報処理機器を障害者・高齢者を含めて誰もが容易に利用できるようにすること(アクセシビリティ)は、極めて重要となっている。


現在、障害者・高齢者等において、以下の(1)〜(4)のような機器操作上の障壁により、情報処理機器の利用に支障をきたすケースがあるが、本指針は、このような課題に対処するため、キーボード及びディスプレイ等の標準的な入出力手段の拡充や専用の代替入出力手段の提供を促進し、もって障害者・高齢者等の機器操作上の障壁を可能な限り低減し、使いやすさを向上させることを目的とするものである。


(1) 障害による操作上の障壁(肢体不自由による入力装置利用上の障壁、視覚障害による表示装置利用上の障壁、聴覚障害による音声情報利用上の障壁、知的障害による操作理解に関わる障壁等)


(2) 加齢に伴う心身機能の低下による操作上の障壁


(3) 病気やケガ等に起因する一時的な心身機能の低下による操作上の障壁


(4) 暗所、騒音下等の特別な環境における操作上の障壁


【解説】本指針は、平成7年度から平成9年度にかけて実施した全国各地での旧指針の説明会で提案された意見や平成10年度に実施した指針改訂に関する調査結果を踏まえて作成されたものである。本指針では、情報処理機器の利便性を可能な限り多くの人々に享受してもらうことを目的として、旧指針で対象とした機器操作上の障壁の範囲を拡大している。すなわち、本指針では、(1)障害による操作上の障壁及び(2)加齢に伴う心身機能の低下による操作上の障壁に加え、(3)病気やケガ等に起因する一時的な心身機能の低下による操作上の障壁及び(4)暗所、騒音下等の特別な環境における操作上の障壁を新たに対象としている。


 この障壁の範囲拡大は、WHO(世界保健機関)で策定作業が進められている国際障害分類2の考え方と合致するものであり、今後、機器操作上の障壁を低減する上での基本的な概念となるものである。


 また、本指針は、情報処理機器の有する各種ソフトウェア及びツールを有効に活用するために必要となる入力・選択手段としてのキーボードやマウス、表示・確認手段としてのディスプレイ、入出力支援ソフトウェア等の基本構成機能の使いやすさの向上を目的としている。


 しかし、今後、情報処理機能の技術革新や情報家電のような日常生活製品と情報処理機器との統合等が進展することにより、これらの基本構成機能が変化することが十分に予想される。このため、このような情報処理機器を取り巻く環境の変化に対して本指針の内容も柔軟に対応させていくことが重要な課題である。





2.対象機器


情報処理機器(パーソナルコンピュータ (パソコン)、ワードプロセッサ(ワープロ)、ワークステーション及びメインフレーム等のコンピュータ本体並びにその関連機器をいう。関連機器には、キーボード及びポインティングデバイス等の標準入力装置、点字キーボード等の特殊入力装置、ディスプレイ及びプリンタ等の標準出力装置並びに点字プリンタ等の特殊出力装置が含まれる。)


【解説】新指針では、旧指針と同様にコンピュータ本体と入出力装置等の関連機器を対象機器としたが、近年、家電、ATM、券売機、携帯電話、公共端末、ゲーム機等の多くの機器についてもCPUやメモリを搭載し、また、入力機能や表示機能を有するようになり、情報処理機器と類似する点が多くなりつつある。本指針は、今後これらの機器の開発に際しても参考になりうるものと考えている。


 なお、これらの機器の中には、専用機器としての固有の問題を有するものがあり、今後、対応技術、利用の多様性、入力・読み取り効率、開発コスト等の総合的な観点からの検討が必要である。





3.基本方針


この指針は、障害者・高齢者のみならず、機器操作上の障壁を有する誰もが情報処理機器の利用上の制約を受けることなく、情報処理機器の利用の利益を可能な限り享受することができるようにするため、以下の考え方に立脚して定めるものである。


(a) 共用機能の標準化の推進


  機器操作上の広範な障壁に可能な限り対応するため、共用化すべき機能について標準化を図り、汎用の情報処理機器への搭載を実現する。


  この機能を「標準的なハードウェア及びソフトウェアを使いやすくする機能(付加


 機能: Adaptive function)」と呼び、情報処理機器本体等の開発者に対して実現を求める。


(b) 専用機能の開発の推進


(a)の機能では利用者固有の要求を満たせない機器操作上の障壁に対して、きめ細かく対応できる専用機能を開発する。


この機能を「標準的なハードウェア及びソフトウェアの代替手段として提供する機能(代替機能: Alternative function)」と呼び、周辺機器やアプリケーションソフトウェア等の開発者に対して実現を求める。


【解説】アクセシビリティ機能を多くの利用者がより広くあるいはきめ細かに享受できるようにするとともに、開発者がそれぞれの範疇を明確にしてアクセシビリティ機能を開発できるようにするために、本指針では、アクセシビリティ機能を付加機能(Adaptive

function)と代替機能(Alternative function)に2つに大きく分類している。


 付加機能については、汎用の情報処理機器上で実現することにより、多くの利用ニーズに適合できるようになるとともに、また、利用者が余分なコストを負担することなく容易に購入できるようになる。この付加機能は、一部の汎用の情報処理機器では既に搭載されているが、本指針では、この既存の機器については、さらに継続して搭載されること、また、未搭載の機器については、早急に搭載されることを要請するものである。


 また、代替機能については、付加機能では対応が困難な場合、例えば、両手足が動かせないこと等により標準のキーボードやポインティングデバイスではアクセスすることが困難な場合に必要である。この代替機能は、利用者が少なく求められる要求が多様なだけに(入力スイッチだけでも1種類で済まない)、多品種少量生産のコスト高になりがちであるが、リハビリテーションエンジニア等の専門家により、個々の利用ニーズに合わせてカスタマイズできる機能にしておくことは、コスト面から必要であるのみならず、利用の多様性に柔軟に対応する上でも重要である。



(c) サービスの充実


アクセシビリティ製品の活用や専用機能の開発を促進するため、障害者・高齢者等の利用者及びその支援者並びに専用機能の開発者に対するサービスの充実を求める。


【解説】アクセシビリティ機能は、誰もが何時でも利用するものではないため、雑誌やパソコンショップ等で一般的に見聞きする機会は極めて少ない。また、障害や高齢のため外出できない場合や視覚障害のため印刷物を読むことが難しい場合は、アクセシビリティ機能に触れる機会はさらに少ない。このため、アクセシビリティ製品情報が利用者やその支援者に十分に伝わらず、また、メーカにとっては製品化したのに売れないといった不利益が双方に生じている。これを解決するためには、利用者が一元的な窓口のホームページにアクセスするだけで多様なアクセシビリティ情報を取得できるようなワンストップサービスの確立が必要であるとともに、個々の開発者等も一元的な窓口に連結するホームページを開設し、利用者やその支援者に的確なアクセシビリティ製品情報を提供するとともに、自社製品の相談等に即応できる体制を整えることが重要である。



(d) 開かれたシステムへの配慮


アクセシビリティに配慮した市販の情報処理機器に対する容易な接続等、互換性の高い開かれたシステムを重視する。


【解説】利用者が、情報処理機器、OS、ソフトウェアを更新した場合であっても、利用者が今まで使い慣れた入力装置や機能を同じ操作法で使い続けることができるようにすることは非常に重要である。また、自宅、学校、職場等の複数の場所で情報処理機器を利用する場合、機種によらず、一定の操作法でハードウェア、ソフトウェア、データを利用できることも必要である。このためには、ハードウェアインターフェイスの統一、ソフトウェアの共通化、データの互換性確保、利用法の統一等のオープンなシステム環境作りが重要である。





4.仕 様



4−1 標準的なハードウェア及びソフトウェアを使いやすくする機能(付加機能:Adaptive

function)



1 キーボードを使いやすくする機能



1-1 順次入力機能


 文字の入力時や機能の選択時において、SHIFT(シフト)キー、CTRL(コントロール)キー及びALT(オルト)キー等の機能キーと文字キーとの同時打鍵が必要となる場合、機能キー、文字キーの順に一つずつキーを打鍵して文字を確定する順次入力操作を可能にする。


【解説】標準キーボードには、SHIFT(シフト)キー、CTRL(コントロール)キー、ALT(オルト)キー、ファンクションキー等の機能キーと同時に打鍵しないと入力できないキー(%や&等)や機能を選択できないキーがある。しかし、筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のため、1本指、足、口にくわえた棒等で一つずつしかキー操作ができずこの同時打鍵の操作ができない場合がある。このため、同時打鍵に代わり一つずつキーを順次に入力できる機能が必要である。



1-2 反復入力(キーリピート)条件設定機能


 反復入力(キーリピート)の停止、開始時間(t1)やリピート間隔(t2)を設定できるようにする。これらの機能の有効・無効を任意のキー毎に指定できるようにする。


【解説】筋力低下、緊張、加齢等のために、押さえたキーをタイミングよく離すことができず、キーリピート機能によって意図しないキー入力が生じ誤入力となる場合がある。このため、利用者の入力のタイミングに合った反復条件を設定できる機能が必要である。なお、文字キーではキーリピートを無効にし、矢印キーではキーリピートを有効にしたい場合等があるので、任意のキー毎に有効・無効を指定できるようにする。



1-3 キー入力確定条件の設定機能


 各キーは、打鍵直後確定するのではなく、一定時間(t3)押下して初めて確定できるようにする。


【解説】手の震えや不随意運動等のために、押したいキー以外のその他のキーに触れただけでキー入力が確定されてしまい誤入力となる場合がある。また、筋力低下のため、キーを一定時間以上押すことができず、押したいキーに触れたとしてもキー入力が確定しない場合がある。このため、キーに触れてからその入力が確定するまでの時間を設定できる機能が必要である。



1-4 キー入力のみによる操作機能(キーボードナビゲーション)


 キーボードの特定のキーやその組み合わせだけで、ソフトウェアのすべての操作及び選択ができるようにする。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等でマウスが操作できないためや視覚障害がありマウスポインタが見えないために、ソフトウェアの操作・選択をキーボードで行わざるを得ない場合がある。このため、キーボードの特定のキーやその組み合わせだけでソフトウェアのすべての操作・選択ができる機能が必要である。


 本機能の例としては、ALT(オルト)キーと文字キーによるメニュー選択、TAB(タブ)キーによる選択ボタン間の移動、CTRL(コントロール)キーと"P"キーの同時打鍵による印刷機能等がある。



1-5 キーボード操作のフィードバック機能


 キー入力時に音声等を用いてキー入力の確定やトグルキー(キーを押すたびに状態が交互に変わるキーのことで、例えば、Caps

Lock(キャプス・ロック)キーは1度押すと大文字入力が可能になり、再度押すと元に戻る)の現在の状態等を確認できるようにする。


【解説】指先感覚の麻痺や衰えのために、キー入力ができたどうか触覚的にわからない場合や、また、視覚障害のためにキー位置、キーリピート、キー入力確定、トグルキーの現在の状態等が分からない場合がある。このため、キー入力確定時に音や音声等をフィードバックできる機能が必要である。なお、トグルキーに対しては、音の種類を変える等により現在のON・OFFの状態を識別できるようにする。



1-6 キーガード


 キーボード上にかぶせるキーガードを提供する。


【解説】筋力低下のために、キーボード上で手を浮かし続けることができない場合、キーガード(プラスチックまたは金属製)は、その上に手を置けるので安定し、確実にキー入力ができる。また、手の震えや不随意運動のために押したいキー以外の他のキーに触れてしまう場合、キーガードで覆われているので、他のキーの押下を避けることができる。なお、キーガードの提供にあたっては、キーに対応する穴径、穴周囲の面取り(テーパー)やキーボードへの固定方法等の安全性や強度に対して十分な配慮が必要である。キーガードは、情報処理機器メーカが作成するか、あるいは自社製のキーボードに適合するキーガードを周辺機器メーカが作成できるように必要情報を提供する。



1-7 キーの識別手段


 キーボード上に刻印される文字及び記号はできるだけ見やすいものとする。手がかりとなる主要なキーには識別のための突起を付ける。あるいは、大きな文字や点字が印字されたシール等の識別手段を提供する。


【解説】弱視や加齢による視力低下等のために、キーに刻印された文字・記号が見づらく、誤入力する等の入力効率が低下する場合がある。このため、文字・記号の大きさ、太さ、コントラスト等に配慮し見やすくするか、あるいは、大きな文字・記号が印字されたシールを提供することが必要である。また、全盲のためキーが見えない場合、キーボード上の定位置に確実に手を置くことができるように特定のキー(文字キーであればFとJ、テンキーであれば5、ファンクションキー等)に突起を付けるか、あるいは、凹凸をつけた点字・記号が印字されたシールを提供することが必要である。





2 ポインティングデバイス(マウス等)を使いやすくする機能



2-1 ポインタの移動量設定機能


 ポインティングデバイスの操作量に応じたポインタの移動量を調節できるようにする。


【解説】手の震えや不随意運動等のために、ポインティングデバイスの細かなコントロールが難しい場合や、また、筋力低下や手の動かせる範囲の制約のためにポインティングデバイスを大きく動かすことが難しい場合がある。このため、ポインティングデバイスの移動量とポインタの移動量の比率を調節できる機能が必要である。本機能により、ポインティングデバイスを大きく動かしてしまってもポインタを大きく動かさないようにしたり、また、少し動かしただけでもポインタを大きく移動させたりすることが可能となる。



2-2 ポインタの自動移動機能


 実行中のウィンドウ、ボタン及びメニューの上に、ポインタを自動的に移動できるようにする。


【解説】手の震えや不随意運動等のために、ポインティングデバイスの細かなコントロールが難しい場合や、また、筋力低下や手の動かせる範囲の制約のためにポインティングデバイスを大きく動かすことが難しい場合がある。このため、ポインタをボタン等に自動移動することによりポインティングデバイス操作を軽減できる機能が必要である。なお、本機能は、必要に応じて設定・解除できるようにすることが重要である。



2-3 ポインタやカーソルの条件設定機能


 ポインタやカーソルの大きさ、形状及び色の変更、軌跡の表示並びに点滅間隔等の条件設定ができるようにする。


【解説】弱視や加齢による視力低下等のために、ディスプレイ内の位置にかかわらず常にポインタが見づらい場合や、色覚に問題がある等のためにポインタの色が背景色と類似しているとポインタの位置が分かりづらい場合がある。このため、ポインタやカーソルを見やすくできる機能が必要である。



2-4 ポインティングデバイスのボタン機能の変更


 ポインティングデバイスのクリック、ダブルクリック及びドラッグ等の機能を左ボタン、右ボタン等に割り当てられるようにする。また、クリック速度等の設定もできるようにする。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、標準設定ではポインティングデバイスの操作が難しくなり、ボタンやメニューの選択が確実にできない等の操作効率が悪くなる場合がある。このため、ポインティングデバイスを確実に操作できる機能が必要である。



2-5 キーボードによるポインティングデバイスの操作機能(マウスキー)


 ポインティングデバイスによるポインタ移動、クリック、ダブルクリック及びドラッグ等の操作をキーボードで代行できるようにする。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等でマウスが操作できないために、マウス等のポインティングデバイスの操作をキーボードで行わざるを得ない場合がある。このため、ポインタの移動、クリック・ダブルクリック・ドラッグ操作をキーボード上のテンキー等で代行できる機能が必要である。本機能によって、手や腕を大きく動かさず指先だけの動きだけで、ポインタ移動、ドラッグ、画面スクロール、作図等が可能となる。







3 画面表示を見やすくする機能



3-1 画面の拡大表示機能


 すべての画面情報を見やすい倍率で拡大・縮小表示できるようにする。拡大・縮小する領域は、カーソル移動キー、マウス等で指定できるようにする。また、ポインタやカーソル移動にも追従できるようにする。


【解説】弱視や加齢による視力低下等のために、ディスプレイ内に表示される文字、ボタン、アイコン等が小さくて見づらい場合や、また、視野が狭いために画面情報を一度に見られず画面情報を誤認識する等の全体を見る効率が悪くなる場合がある。このため、すべての画面情報を見やすい倍率で拡大・縮小表示できる機能が必要である。なお、拡大・縮小する領域は、利用者が必要な時点でカーソル移動キー、マウス等で指定できるようにしたり、ポインタやカーソル移動にも追従できるようにする。これにより、メニュー選択時や文章作成時に常に操作・選択しているところを拡大・縮小表示できる。また、拡大表示すると全体のレイアウト等が理解しづらくなるので、元の表示倍率に戻せる機能を付ける。



3-2 画面の配色変更機能


 画面に表示される情報の配色を変更できるようにする。


【解説】色覚に問題があるためや加齢による視力低下等のために、ディスプレイ内に表示される背景色と文字、ボタン、アイコン等の配色が見づらく、画面情報を誤認識する等の見る効率が悪くなる場合がある。このため、画面表示を反転したり、画面の配色・コントラストを任意に変更できる機能が必要である。なお、色の情報も重要な場合があるので、元の表示色に戻せる機能を付ける。





4 システム全般を使いやすくする機能及び環境



4-1 情報処理機器の操作性


 電源スイッチ及びリセットスイッチの操作、電子媒体の交換並びに周辺機器との接続等について、使いやすくすると同時に、誤動作しないように配慮する。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動、加齢による筋力低下等のために、電源スイッチやリセットスイッチ等が押しづらい、電子媒体の交換が難しい、周辺機器の接続が難しい等の場合がある。また、視覚障害や加齢による視力低下のために、それらの位置や着脱の向きが分かりづらい場合がある。このため、主要なスイッチ類の位置、形状は、押しやすく、誤入力されないように配慮することが必要である。また、電子媒体を正しい向きで挿入・取出しができるように、電子媒体の挿入口の位置とその挿入方式を配慮することが必要である。さらに、コネクタ類については正しく容易に接続できるように、位置、色、形状を配慮することが必要である。



4-2 周辺機器の操作性


 外部記憶装置や入出力装置の操作性及び情報処理機器本体との接続性を容易にする。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動、加齢による筋力低下等のために、周辺機器の電源ON・OFF、操作スイッチ等の操作が難しい場合がある。このため、周辺機器の電源ON・OFFや各種操作を情報処理機器本体からも行うことができるようにしたり、また、周辺機器の状態(用紙切れ、カートリッジ交換、エラー情報等)を情報処理機器上で確認できるようにすることが必要である。なお、4−1のスイッチ類の位置、形状、操作性については、周辺機器についても配慮することが必要である。



4-3 情報処理機器のFAX対応機能


 情報処理機器とFAXとの間で文字・図形情報の送受信ができるようにする。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、プリンタの操作が難しい場合や、視覚障害のために、印刷物の確認ができない場合がある。このため、紙に印刷せずにFAXとの間で文字・図形情報を、直接、送受信できるように情報処理機器にFAXモデム及び関連するソフトウェアを付けることが必要である。また、聴覚障害のためにFAXへの情報送信時に送信先の電話番号変更、回線不良、FAXに切り替えられていない等の音声情報が聞こえない場合がある。このため、送信状況を情報処理機器のディスプレイに表示する機能が必要である。さらに、相手のFAXから情報が送られてきた際に確実に受信したこと等を相手先に伝達するため、受信者の情報(スケジュールやメッセージ等)を情報処理機器から自動返信する機能が必要である。



4-4 多様な利用環境への対応


 多様な環境下での利用を考慮したハードウェア設計をする。携帯性についても配慮する。


【解説】日常生活を営む上において情報処理機器が必要にも関わらず、他の機器への誤作動、設置場所、電源確保等の理由から、情報処理機器を利用できない場所がある。このため、生活防水対策、ノイズ対策、小型軽量化、低電力化等を施し、利用場所の制限を受けない情報処理機器を提供することが必要である。また、利用環境(照明、騒音等)に応じて、ディスプレイの明るさや音量を自動・手動で調整(オフにする機能も含む)できる機能が必要である。さらに、インターネット等を利用するために、医療施設でも利用可能な通信機器(携帯電話、PHS等)を開発したり、利用条件に関する情報を提供することが必要である。



4-5 出力情報の多重表現機能


 ハードウェアやソフトウェアの動作状態や警告を、画面表示、音声及び振動等複数の手段で知らせるようにする。


【解説】聴覚障害や加齢による聴力低下等のために、エラーを示すブザー音や音声情報が聞こえず、問題に対処できない等の操作効率が悪くなる場合がある。また、視覚障害や加齢による視力低下のために、エラーメッセージ等の画面情報が見えず、同様な場合がある。このため、ブザー音や音声情報出力時に画面の一部を点滅させたり、エラーメッセージ等の画面情報表示時に音や音声でその状況を知らせたりする機能が必要である。また、視覚及び聴覚両方に障害がある場合に対応できるようにするためには、振動等触覚を通して情報を提示できる機能が必要である。これらの機能は、知的障害に対しても利用の手助けになる。



4-6 入力操作前の状態に戻す機能


 キー入力等の操作によって生じたソフトウェアの状態変化を、その前の状態に戻す(取り消す)ことができるようにする。


【解説】ポインティングデバイスやキーボードを誤って操作した結果、不要な文字が入力されたり、別の操作画面に移ってしまう場合がある。また、筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、操作に時間がかかる、視覚障害があり画面が見えない、もしくは見にくいために、画面の状態を理解する時間がかかる等の理由で、誤入力の取り消しに労力を要する場合がある。このため、簡単なキー操作で入力操作直前の状態に戻す機能が必要である。



4-7 メニューの階層構造


 1つのメニューに多数の項目を表示する場合や多階層構造にする場合、表示方法を工夫する。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、キー入力やポインティングデバイスの操作が難しく、メニュー項目が多くなればなるほど選択するための操作回数も多くなり、操作性が悪くなる場合がある。また、視覚障害があり画面が見えない、もしくは見にくいためや加齢による認知力低下のために、複雑なメニュー階層構造の理解が難しく、現在どの位置のメニューにいるのか分かりづらくなる場合がある。このため、メニューの内容やメニュー階層構造は、できるだけ分かりやすいように表示方法を工夫したり、よく使うメニューや機能だけを選択して表示することが必要である、また、目的とする機能や項目を直接実行できるようにするため、特定の機能をキーあるいはキーの組み合わせに割り当てることが必要である。



4-8 アイコン、ボタンや文字等へのアクセス制限機能


 指定したアイコン、ボタンや文字等を隠す、あるいはアクセスできなくする機能を付ける。


【解説】知的障害や加齢による認知力低下のために、ディスプレイ内に表示される多くのアイコンやボタン等の数に混乱し、誤操作が生ずる等の操作性が低下する場合がある。このため、利用者の目的や理解力に応じて、アイコン、ボタン、メニューの数、文字等を一時的に非表示あるいはアクセス不能にする機能が必要である。本機能は障害の種類を問わず、すべての初心者にも有効である。



4-9 OSやアプリケーションソフトウェアの設定条件の保存機能


 OSやアプリケーションソフトウェアの設定条件の内容を保存でき、利用時にその内容が設定されるようにする。


【解説】一時的な病気やケガによる障害を含む利用者が、利用者に使いやすい環境(リピート間隔や拡大表示倍率等)を情報処理機器の起動時に毎回設定し直すことは、操作性を低下させる。複数の利用者が1台の情報処理機器を利用する場合にも同様の問題がある。このため、利用者個々の最適な条件の設定を保存し次回の使用時にそのまま利用できる機能やパスワード等で利用者を識別する機能が必要である。ただし、筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、起動時のパスワードを標準キーボードから入力することが難しい場合がある。このため、専用ICカード、利用者の目の虹彩や指紋による自動識別機能、電源投入時から代替入力装置が使用できる機能が必要である。



4-10 単語・文章予測機能


 キー入力操作中に、最初の数文字の入力によって、後に続く文字や文章を予測・表示する機能を付ける。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、キーボードによる入力操作が難しい場合や、視覚障害等のために、キーが見えない場合は、キーボード上での文字の入力効率が悪くなる。このため、頻繁に用いる単語や言い回し文章をあらかじめ登録できる機能や以前に入力した文字列を自動的に入力候補として表示する機能が必要である。



4-11 漢字習得レベルに合わせた漢字辞書


 漢字習得レベルに見合うかな漢字変換辞書を提供する。


【解説】漢字の知識が少ないために、かな漢字変換時の候補漢字に未習得の漢字が多く表示されると、その意味が理解できず正確な漢字が選択できなかったり、効率的に漢字を選択することができない場合がある。このため、利用者の漢字習得レベルに見合うかな漢字変換辞書が必要である。かな漢字変換辞書は、かな漢字変換ソフトウェアメーカが提供する。





4-2 標準的なハードウェア及びソフトウェアの代替手段として提供する機能

(代替機能:Alternative function)



1 キーボードの代替



1-1 代替キーボード


 標準キーボードと同等な機能を有する代替キーボードを提供する。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、標準キーボードによる入力操作が難しい場合がある。このため、標準キーボードと同等な機能を有する代替キーボードが必要である。


 例えば、手の震えや不随意運動等により細かなキー入力操作ができない場合、大型キーボードが有効である。また、筋力低下や麻痺等により手の動かせる範囲に制限がある場合、小型キーボードが有効である。これらの代替キーボードには、第1章の各機能が必要であるとともに、入力に用いる体の部位(ひじ、足指等)に応じてキーの大きさ・配列等を変更できる機能が必要である。さらに、その他の代替キーボードとしては、キーを押す構造のものだけでなく、レーザ光でキー入力を行う光入力キーボード、符号(モールス符号)化キーボード等が有効である。



1-2 オンスクリーンキーボード


 オンスクリーンキーボードを提供する。


【解説】重度の肢体不自由等のために、手の動かせる範囲に制限があり、標準キーボードによる複数のキー入力が難しい場合がある。このため、文字や記号をポインティングデバイスやスイッチによるON・OFF操作等で選択して入力できるオンスクリーンキーボード(ディスプレイ内に表示したキーボード)が必要である。また、キーの大きさ・配列の変更、入力方法の切り換え(直接選択法、スキャン入力法等)、一時的なオンスクリーンキーボードの非表示や退避ができる機能が必要である。さらに、ポインタがキーの上で一定時間以上留まったときに、そのキーが自動的に選択される機能が必要である。



1-3 点字入力機能


 標準キーボードの一部を点字キーボードとして利用できるソフトウェア、あるいは専用の点字キーボードを提供する。


【解説】視覚障害等のために、キーボード上のキー配列を見ることができない場合や、キー配列を覚えていない場合は、誤入力する等の文字の入力効率が悪くなる。このため、点字を使い慣れている場合に、効率的に入力できる点字キーボード(点字1文字を構成する6個または8個のキーの組合せで文字入力する専用キーボード)が必要である。これは、ソフトウェアで標準キーボード上のキーを点字キーボードに見立ててもよい。また、標準キーボードが、同時打鍵した6個または8個のキー入力を受けつけられる機構になっていることが必要である。



1-4 音声入力機能


 音声によって情報処理機器の操作及び文字入力を行う機能を提供する。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、キーボードによる入力操作が難しい場合や、視覚障害等のためにキーが見えない場合は、キーボード上での文字の入力効率が悪くなる。このため、音声認識によりメニューから項目選択や文字入力を行う機能が必要である。また、発声が不明瞭な場合でも認識できるように、認識精度を向上させることが必要である。



1-5 音声による文字入力支援機能


 入力中の文字(アルファベットを含む。)を読み上げることができるようにする。音声の大きさ及び音声の種類等を設定できるようにする。文字入力時は、(1)打鍵した文字、(2)変換候補文字、(3)確定した文字を音声で確認できるようにする。同音異義漢字については音声で区別できるようにする。音声辞書の内容は利用者が変更できるようにする。


【解説】視覚障害やベッドサイドでディスプレイとの距離が遠い等のために、ディスプレイ表示を見ることが難しい場合がある。このため、キー入力した文字を耳でも確認できるように同時に音声で読み上げる機能が必要である。特に、正確に漢字混じり文章の作成のために同音異義漢字を読み分ける((例)工:こうさくのこう、校:がっこうのこう)機能、ひらがなとカタカナ、全角文字と半角文字、大文字と小文字を読み分けるために複数の音声(男性声、女性声等)を出力する機能、利用者が文字を理解しやすくするために音声辞書に登録されている読み方を変更できる機能が必要である。





2 ポインティングデバイスの代替



2-1 代替ポインティングデバイス


 マウスと同等な機能を有する代替ポインティングデバイスを提供する。


【解説】筋力低下や麻痺、手の震えや不随意運動等のために、マウス等の標準的なポインティングデバイスの操作が難しい場合がある。このため、マウスと同等な機能を有する代替ポインティングデバイスが必要である。代替ポインティングデバイスとしては、複数のスイッチ(ポインタ上下左右移動用スイッチ、クリック用スイッチ、ドラッグ用スイッチ等)を組み合わせた装置、視線の動きを検出してポインタを移動させるアイトラッキング装置、頭の動きを検出しポインタを移動させるヘッドポインティング装置等が有効である。



2-2 タッチスクリーン


 ディスプレイに装着するタッチスクリーンを提供する。


【解説】知的障害のために、入力装置による入力動作やディスプレイ内に表示される情報との対応関係(例えば、マウスを手前に動かすと、ディスプレイ内のポインタが下に移動する等)が分からない場合、標準の入力装置が使用できない。このため、ディスプレイ内に表示されるボタンやメニュー等を、直接、指やペンで選択するタッチスクリーンが必要である。なお、手の震えがある場合に触れただけで入力されてしまうことがないように、また、筋力低下のため強く押せない場合でも軽く触れただけで入力できるように、スクリーンの入力感度の設定及び入力モードの選択(押したときに入力確定、または離したときに入力確定の切り換え等)ができることが必要である。





3 ディスプレイやプリンタの代替



3-1 音声読み上げ機能


 画面の任意の位置に表示される文書情報及び電子メール等の文字情報(英単語を含む。)を読み上げることができるようにする。読み上げ速度調節や読み上げ中断等ができるようにする。


【解説】視覚障害やベッドサイドでディスプレイとの距離が遠い等のために、ディスプレイ表示を見ることが難しい場合がある。このため、ディスプレイ内に表示される任意の位置の文字情報を読み上げる機能が文書や電子メールの内容を効率的に理解する上で必要である。また、漢字混じり文章(英単語を含む)を正確に読み上げるために、地名、人名等の固有名詞を含んだ熟語辞書、英単語辞書等が必要である。さらに、速度調節機能、スキップ(読み飛ばし)機能、読み上げ中断等の条件設定機能が必要である。



3-2 点字ディスプレイ・触覚ディスプレイ


 画面に表示される文字情報を点字で表示する点字ディスプレイを提供する。また、画像情報をそのまま凹凸形態に変換して提示する触覚ディスプレイを提供する。


【解説】視覚障害のために、ディスプレイ表示を見ることが難しい場合がある。この場合、音声読み上げが有効手段の一つとなるが、数字列や地名等は聞き逃してしまう可能性がある。このため、点字を使い慣れている場合には、点字に対応する6本または8本のピンの上げ下げで点字データを表示できる点字ディスプレイが必要である。この点字ディスプレイにより、自分のペースで確実に数字や文字情報を理解することができる。また、視覚及び聴覚の両方に障害がある場合、情報の理解を助けるために図形や線画をそのまま凹凸情報として提示できる触覚ディスプレイが必要である。



3-3 点字プリンタ


 画面に表示される文字情報を出力する点字プリンタを提供する。


【解説】視覚障害のために、一般の印刷物を見ることが難しい場合がある。このため、点字を使い慣れている場合には、紙に点字の凹凸を印刷できる点字プリンタが必要である。また、一般に文字情報は文字コードとして記憶されているため、点字プリンタでの印刷に必要な点字コードへ翻訳する点訳ソフトウェアも合わせて提供することが必要である。さらに、図形や線画をそのままの形で凹凸情報として出力できる機能が必要である。







4−3 共通事項



1 サービス



1-1 インタフェースの仕様公開


 代替入出力装置及びソフトウェアの開発支援のため、外部機器との接続部分のハードウェア仕様及びソフトウェア仕様(インタフェース)を公開する。


【解説】代替キーボード、代替ポインティングデバイス、各種スイッチ、点字プリンタ等を設計・開発するためには、外部接続機構のハードウェア仕様及びソフトウェア仕様の公開が不可欠である。このため、情報処理機器等の開発者は、情報処理機器本体や周辺機器のハードウェア仕様及びOSを含むソフトウェア仕様を公開することが必要である。



1-2 情報処理機器の表記に対する配慮


 情報処理機器に刻印する文字及び記号については、専門用語、外来語及び略語を多用せず、できるだけわかりやすい表現にする。


【解説】情報処理機器利用の初心者にとって、情報処理機器に刻印された単語は、操作を難しく感じさせる。このため、専門用語、外来語及び略語を多用せず、できるだけわかりやすい表現にすることが必要である。



1-3 コンテンツをわかりやすくするための配慮


 画像や写真には説明書き(文字)を付ける、音声(会話)には字幕を付ける、文章だけの説明を避け図や表を付ける等、複数の手段でコンテンツ(ソフトウェアで使用する画像、音声及び文章等の様々なデータ)にアクセスできるよう表示情報と音声情報をできるだけ提供する。また、基本・応用機能等の利用者に応じた複数の操作方式の提供及びウィザード機能(対話型案内機能)、ヘルプ機能等の操作方法に困った時の支援機能の充実により、コンテンツ自体の操作を分かりやすくする。



【解説】視覚障害等のために、情報が画像や写真だけで表示されているだけでは画面読み上げソフトを使用してもその内容を理解できない場合がある。このため、説明書きを付加することが必要である。また、色覚に問題があるために、色による区別が難しい場合があるので、色だけによる情報提示(「赤いボタンを押します」等)は避け、テキストの併記やコントラストの高い色づかいにすることが必要である。


 情報が音楽や音声だけで出力されているだけでは、聴覚障害や騒音環境下等ではその情報が聞き取れずその内容を理解できない場合がある。このため、その内容に関する説明を文字情報として付加することが必要である。また、文字だけでの説明では内容を理解することが難しい場合があるので、アニメーションや手話等を付加することが必要である。さらに、コンテンツを操作する際に、次に行うことができる複数の操作の候補を提示したり、操作に困った時のウィザードの機能、ヘルプ機能を充実させることが必要である。コンテンツの機能追加は、コンテンツ作成者が実施する。



1-4 マニュアルを利用しやすくするための配慮


 マニュアルは、専門用語、外来語及び略語を多用せず、できるだけ分かりやすい表現にし、複数の手段でアクセスできるようにする。


【解説】情報処理機器を効果的に使用するために、利用者が正確に理解できるマニュアルを提供することが必要である。提供するにあたっては、専門用語、外来語及び略語を多用せずできるだけわかりやすい表現を用いることが重要である。それらを使う場合においては、用語集を用意する等理解を助けるように配慮する。また、視覚障害により印刷物を見ることができない場合があるため、利用者が点字データに変換したり拡大印刷できるように、印刷物に使用した電子データを提供することも必要である。



1-5 製品情報の提供


 アクセシビリティ製品についての情報を提供する。


【解説】利用者が、目的、環境、障害の程度等に適合した情報処理機器を購入し、効果的に利用するためには、製品に関する様々な情報が必要である。そこで、製品仕様、他社製品との組合せの可否、Q&A、使い方に関するノウハウ、留意事項などの情報を、パソコン通信、インターネットのホームページ等によって広く提供することが必要である。また、利用者向けだけでなく、利用者をサポートする専門知識を持つ人向けの情報がある場合はあわせて提供することが必要である。

1-6 問い合わせ窓口・手段


 自社製品に関する問い合わせ窓口を用意し、説明書等に明記する。利用者が複数の手段でアクセスできるよう、問い合わせ窓口には電話、FAX及び電子メール等を使えるようにする。


【解説】障害の種類によって、効果的なコミュニケーション手段が異なる。例えば、聴覚障害・言語障害がある場合、電話による問い合わせが難しいため、FAXや電子メール等が効果的である。また、視覚障害がある場合、ホームページでの情報の掲示だけでは不十分なため、電話が効果的である。このため、問い合わせ窓口には、様々な受付手段を準備しておくことが必要である。