上肢障害者用

上肢障害者用支援者機器

  • モールスキーボード(1992〜)
    モールス符号を用いて英数字やカナ文字をコンピュータに人力するための機器。利用者の残存能力に応じて1つまたは2つのスイッチが利用可能。2スイッチの場合は、長点と短点を別スイッチに割り当てる。手や指の可動範囲は狭小でも精密な動きは可能な筋ジストロフィ患者に好評で、全く手が自力で動かせないにも関わらず、このキーボードを用いて毎秒4文字という高速人力を行う筋ジス患者もいる。少ない部品数で機能が実現できるため小型軽量化可能。聴覚障害者の電話連絡にも便利。また、人力結果を音声で確認するようにすれば視覚障害者も利用可能。内山幹男が設計試作。
  • 回転型特殊入力装置(1992〜1994)
    脳性マヒの人達にしぱしば見られる、上肢の可動範囲は比較的広いが精密なコントロールができない症状を想定して閲発した回転動作を主体とする入力装置。日産科学振興財団の助成金による研究。
  • 筋電利用入力装置(1992〜1993) (上図左端)
    筋肉を収縮させようとする時生じる筋電位変化(筋電)を計測し、この生体信号を上肢障害者 のコンピュータ入力に利用するための装置。富士通からの委託研究。旭川荘児童院と共同開発。
  • 音声利用環境制御装置(1993〜)
    寝たきりあるいは容易に動けない人にとって、室温調整・テレビやビデオの操作・電話の送受信・窓やカーテンの開閉・ベッドの傾きなどの生活環境を自力で制御することは自立の第一歩である。ボタンを押す操作も困難な上肢障害者のために、上記各指令を音声で行うことを可能にした装置。(社)日本電子工業振興協会からの委託研究。岡山県新技術振興財団の助成金も一部得ている。
  • 障害者用竃動車椅子の改造久保 真一 (社会就労センター旭光園:青森県南津軽郡尾上町猿賀字明堂)
    最近、一般的な電動車椅子のジョイスティック・コントローラーが使用不可能な陣害者のために、多様入力コントローラーがメーカーより市販されているが、地方に住む者にはとっては各々の障害に合わせてオーダーするための労力・金額・期間等、簡単にできないのが現状である。また、それができたとしても当地域では基準外交付がされていないため利用者の負担はかなりのものとなる。そこで機能を限定し、手軽に使えることを目標に当装置を開発した。当装置は前後左右4方向をスキャン走査し、方向確定と走行開始・停止を2つのスイッチで操作するものである。ジョイステイック・コントローラーは、中に2個のポリユームが入つており、レバーの角度でそれぞれのポリュームが動き電動車椅子の左右のモーターが正転・逆転し前後左右に進行するようになっている。このポリュームの位置を前後左右に進行するように半固定としスキヤン・コントローラーで各進行方向に合ったポリューム位置を選択、それから進行スイッチを操作し走行するようにした.回路的にも簡単なもので済んでおり非常に低価格である。現在、療護施設の利用者が操作の練習中であるが、様子を見ながら適宜改良する予定である.
    「参考文献」 (詳しくはこちらをご覧ください)
    “竃動車椅子の操作装置の改造”、平成8年度弘前大学教育学部教育実践研究指導センター研究報告書第5号、1997
  • 肢体不自由者用キー入力補助ソフト:1-finger
    小山智史 (弘前大学教育学部)
    キーボードを自由に操作できない肢体不自由者用の入力補助プログラム。SHIFTキーやCTRLキ-の同時操作を順次操作で代行する機能と、キーボード操作の代わりにスキヤン方式で入力する機能を持つ。通常のキー操作も可能。適用機極は 「宮士通FMRシリーズ,FM16Vベータ」。

    < 特徴 >
    1. 機器の改造や特殊な装置が不要。スキヤン方式を用いる場合は、外部スイッチをマウスコネクタに接統する。
    2. メモリに常駐し、MS-DOSのアプリケーションソフトと組み合わせて利用する。
    3. システム行を使ってスキヤン表示するのでアプリケーションソフトの表示を妨げない。
    4. スキヤン方式の操作はシングルクリックスキヤン、ダブルクリックスキヤン、クリックホルドスキヤンを選択できる。
    5. ダプルクリックスキヤンは第1クリックでスキヤンの速度が遅くなり、実質的に行列スキヤンと等価。クリツクホールドスキヤンもクリックボタン押し下げ中のスキヤンの速度が遅くなる。
    6. 誤操作のキヤンセル機能がある。
    7. クリック換作のチャタリング防止機能を含む。

名前の由来
このソフトの開発当時、「…ワンフィンガーでやるもよし ツーフィンガーでやるもよし。…」というウィスキーのCMがあった。“1-fingcr”は、同時操作をワンフインガーの撫作で「代行」するものだが、同時操作(ツーフィンガー)も有効なように作ってあるので健常者が使っても違和感が無い。このCMのとおりである。

  • 操作回数を最小にする重度肢体不自由者用の入力方式
    小山智史 (弘前大学教育学部)
    重度肢体不自由者の文字入力に行列スキャン方式が用いられるが、1文字入力するためにスイッチをたくさん換作しなけれぱならない(あるいは時間がかかる)。そこで、どんな文章を入力する時にもスイッチの平均操作回数を最小にする方法を考案した。現在は評価用ソフトのみ。適用機極は「MS-DOS用」。「DOS/V機」およぴ「宮士通FMRシリーズ」はマウスコネクタに接続した外部スイッチで操作可。

< 特徴 >

    1. 動的ハフマン符号化法を応用し、それまでに入力した文字の出現頻度を基に 頻出文字ほど少ない操作回数となるような入力方法を自動構成する。
    2. スイッチの平均操作回数は、概ねエントロビー値(限界)となる。
    3. 言語や入力文書の事前知識を必要としないので、どこの国の言葉にも直ちに効果を発揮する。
    4. 障害の程度に応じて何個のスイッチを用いても良い。もちろんスイッチ数が多けれぱ、それだけ操作回数は少なくて済む。
    5. 文脈が変わる場合には、「移動窓」を用いて最近の入力文字から入力方法を決めることもできる。

「参考文献」(詳しくはこちらをご覧ください)
”スイッチの平均操作回数を最小にするコミュニケーションエイドの試作”、第12回ヒューマンインタフェースシンポジウム論文集、1996