福祉システム研究会

自動車接近警報装置

自動車接近警報装置開発の動機



最近のエコブーム等によりハイブリッドカーの利用が進んでいますが、ハイブリッドカーや電気自動車は、その静粛性のため、米国盲人委員会(ACB)が、視覚障害者にけがや死亡事故などへの深刻な脅威をもたらすとの見解を示すなど、あらたな問題が顕在化してきています。

視覚障害者は、自動車から発生する音を基に、自動車の位置、進行方向、加速度、走行速度などの情報を得ており、この音がないと、視覚障害者は深刻な危険にさらされる可能性があります。

自動車接近警報装置の開発



そこで、本研究会では、この自動車接近に関する警報装置に着目し、試作・開発・試験を行っています。

その一例が、内山幹男製作の以下のシステムです。

製作者内山幹男氏の自動車接近警報装置の解説



 今回、市販のラジコンの模型自動車を用いて試作機を製作しました。模型自動車は単3乾電池を5本用いていますので電気自動車 ということができるでしょう。この電池を利用して電子回路と光源を駆動しています。  基本動作は電子回路で発生させた音響あるいは音声を前照灯に見立てた発光ダイオードの光に乗せて(振幅変調)照射し、照らさ れた歩行者に対して接近している電気自動車の情報を伝えるものです。  現在の試作機は送信側が音響(音声)録音回路を使って録音した音響(音声)を連続再生しながら電気自動車の前面に取り付けた LED(発光ダイオード)の光の強さに変せています。音響の強さに応じて光の強さが変化していることが確認できます。  受信側は太陽電池で受信した光の強弱の変化を電圧に変換することにより、イヤホンから音響(音声)を得ています。

今後の発展と課題
光は変調されていますので適合した受信機を利用することにより、歩行者は警告音や振動で電気自動車の情報を受け取ることができます。

「送信部概要(電気自動車側)」
自動車側にはある程度のスペースや電力の余裕があるので、かなりの装置を積むことができます。音響や音声の他、車種や走行速度や方向を送信することができます。車種や走行速度のデータはデジタル化し、パルス変調で光を変調します。 アナログ変調の場合は数十ワット程度のオーディオアンプが必要となりますが、デジタル変調の場合はパワーFETとドライブ回路で済みます。送信するデータのコードを決める必要があります。

「受信機概要(歩行者側)」
太陽電池とクリスタルイヤホンの回路(一番簡単なもの) ・特徴
部品点数が少なく安価、電池を使用しないためメインテナンス不要 ・概要
アナログで振幅変調された光を太陽電池で電圧に変換し、イヤホンで聴く。 「電気自動車が来ます」とかチャイム音を歩行者が再生して自動車の接近を知ります。

「専用受信機」
・特徴
感度を調整できる、多くの機能を組み込める
・概要
デジタルでパルス変調された光をセンサーで受信し、マイコンで解読して種々の情報を歩行者に伝える。車種(自動車の大きさ)や速度や情報を音や振動で警告できる。


「外部受信機」
・特徴
専用受信機を使わず、ブルートゥース携帯などを利用して情報を受け取る
・概要
交差点や電柱に設置された受信機で受け取った信号を近くの歩行者の携帯に情報として伝える。


警報装置付車両模型と警報装置のデモ写真
警報装置付車両模型と警報装置のデモ写真
警報装置付車両模型(発信側)と警報装置(受信側)の例
警報装置付車両模型(発信側)と警報装置(受信側)の例

福祉システム研究会 続く.. WESRA PC